※ネタバレを前提としています

観劇その他覚え書き

Spotlight

出演者は全員女性。全編オリジナルのミュージカル。既存曲が既存曲として出てくる演出もニクかった。

 
気鋭の天才演出家の手がける新作ミュージカルのオーディションに集まった若い演者たち。それぞれが夢やプライド、人生を賭けていて、負けられない戦いがはじまる。破天荒な演出家の振る舞いに一同は戸惑うが、実は演出家も何者かに操られているようで……
というような話。
 
数年合唱をやっていたことがあって（今はもうほとんど死に体）、そのときの「歌が好きで始めたはずなのに気づいたら『勝ちたい』と思うようになってしまって、それがすごく醜く感じられて、しかも勝てなくて、でもやっぱり舞台に立ちたい」みたいなしんどい気持ちを思い出してしまった。（まあたまに思い出しては死んでる）
 
 
駆け出しのミュージカル女優・宮間は天才肌の友人・河南に昔から劣等感を抱いていて、彼女が出てきた途端うろたえて自信をなくしてしまう。
でも彼女は、オーディションが仕組まれたものであると知っても折れなかった。舞台が好きな気持ち、あの日見た夢を諦めることなんてできないと気づいたから。
かわりにそれまで自信満々だった河南のほうが取り乱すの、すごく好きです。

物語の中で、自分の中の軸が揺さぶられる出来事、自分の苦手にしてきたことと向き合う瞬間が代わる代わる来る。脚本がうまいんですよ……。
 
藤井と宮間のデュエット。泣いたが？？？？
先生として宮間を引き止めているように見えて、本当は藤井も舞台を諦めたくても諦められない演者のひとりだっていうの、しんどすぎやしないか。
「むしろどうしたら諦められる？」
 
ストーリーとは別に藤井と宮間の演者お二人のファンなので普通に泣きながら拝んだ。二人の声にはパワーがある…感情が圧で来る……
 
 
そして弱ってる天才はぐう性癖なのでこちらもありがたく拝んだ。
 
♪the best song everで、天才演出家・高木は一人ひとりの手をとって、何か言葉をかけて、役者たちの顔を輝かせていく。
「僕にはできる　みんななら歌える、でしょ？」
それだけでもう、役者たちは天才演出家の虜になってしまう。
そんなきらっきらの高木を見せておいて、どんどん弱らせていく脚本は天才。ありがとうございます。
 
長年コンビを組んでいる、飛び道具的な天才演出家と堅物で苦労性な補佐役がなんだかんだで追い込まれるんですけど、起死回生の逆転劇を画策するとき、二人がいたずらを企む少年の表情になるのすごく好き。
ああ、藤井は、宮間は、そして彼の舞台を心待ちにする私達は、高木のこういうところが好きだったんだと思わせてくれる。
 
舞台の上では恋する人魚にも革命に翻弄される皇子にも名もなき女にもなれる。でも演者は生身の人間で、役者としての人生とプライドがある。
ミュージカル愛がぎゅうぎゅう詰めで、ここに本気を捧げる人たちがいること自体を素晴らしいと思える、素敵な作品。
が！見られるのは！日付が変わって本日１６日まで！！！！
もしかしたらまだ席あるんじゃないか！？！？（未確認）
そのまま！チケットを！ポチれ！！！！！

 

 

それぞれのキャラクターへの愛はツイッターで呟いたのでツリーをご参照ください。

 ツリー繋がりきってなかったので無理やり繋げた。

３番目のやつが一番長いです